10月27日 本日のお魚情報
『ひらめ』
 秋も深まり、各地から初冠雪の便りが聞こえる頃、「寒ひらめ」の旬の入りとなる。4〜6月に産卵を終え、水温が高い夏は「猫またぎ」と言われる程食味に欠けるが、寒さに備え脂肪を蓄える。同時に旨みも蓄え、(筋力100g中のエキス窒素分の含有量は約400mg)特に「縁側」と呼ばれるヒレの部位はコリコリとした食感を持ち脂が乗って最高に旨い。脂肪含有量は冬の天然物で20%(養殖物は30%)もあり、タンパク質の一種であるコラーゲンが多く含まれている。昨今では、養殖魚はもとより、輸入魚も増えアメリカをはじめ韓国や中国からも輸入される。また、日本と季節が反対のニュージーランドやオーストラリアからも輸入される為、夏でも美味しく食べられるようになった。
 ひらめが青森の県魚とまで称されるようになったのは日本一の水揚量が基になっている。それを支えているのは種苗放流事業だ。幼魚まで育て、自然に戻し大きくなってから漁獲するといった再生産が行われている。天然物の体の裏側は白いのに対し、人口種苗で育成されたひらめには黒っぽい斑があるので天然物でも黒斑があれば放流されたひらめであることがわかる。しかし、最近は底に砂を敷いた水槽で育てる種苗もあり、これには黒斑がつかないので見分けにくくなってきた。
 青森での漁獲量が多くなるのはこれから迎える11月と産卵期にあたる6月。特に11月は食味が良くなってきて評価が上がってくる時期にあたっているが、需要期には当らず比較的求めやすい時期となっている。量販店にも並ぶ機会が多くなっているのでぜひ旬の味を楽しんで頂きたい。