10月のお魚情報
なまこ
  青森の正月料理に欠かせない食材「なまこ」が10月に水揚げ解禁を迎えました。市場にはむつ湾の各漁協から主に3kのプラスチック樽で入荷します。年末になると今やブランド品と化した「横浜なまこ」が12月25日以降、期間限定で水揚げされます。以前はかぐわしい香りをたたえた10kヒバ樽で入荷された量り売りが年末の風物詩のひとつでしたが、店頭の人手不足や消費動向の変化により手提げプラスチックに詰められた1k以下のアウトパック品が主流になっています。最近では、観光客への本県産ナマコPRの為に作成した「なまこストラップ」が話題を呼んでいます。
 「なまこ」は寿司ネタとして人気の高い「ウニ」と同じトゲで体が覆われている棘皮動物です。主に食用とされる「マナマコ」は体色からアカ・アオ・クロの3種があり、漁期が旬である冬に設定されることから「冬至なまこ」とも呼ばれ、俳句でも冬の季語とされています。日本人の食の歴史と関わりが深く、古くは日本最古の歴史書『古事記』にその記述が見られ江戸時代の食材図鑑『本朝食艦』などでも紹介されているなど、その食文化は1,000年以上にも及んでいます。江戸時代には「俵物三品」としてふかひれ・干しアワビとともに、干しなまことして中国(清)へ多く輸出され、漢方薬としても古くから滋養強壮薬、皮膚病薬として用いられました。
 主に酢の物としてコリコリとした食感を楽しむ食べ方が一般的ですが、ハラワタで作った塩辛「このわた」はウニ・からすみ(ボrタの卵の塩漬け)と並んで日本三大珍味と言われています。また、卵の塩漬けを乾燥したものは「このこ」または、「口子(くちこ)」として珍重されています。
 依然、中国向け輸出の引き合いが強く、高級食材となってしまった感が否めませんが、10月初頭から年末前までは、まだお手頃な価格で入手できる時期です。ぜひ、この機会に全国に誇れるむつ湾の味覚「なまこ」を脈々と受け継がれてきた食の歴史に思いを馳せながらご賞味されてはいかがでしょうか。
 2009年10月14日 水曜日
ひらめ
  秋も深まり、各地から初冠雪の便りが聞こえる頃、「寒ひらめ」の旬の入りとなる。4〜6月に産卵を終え、水温が高い夏は「猫またぎ」と言われる程食味に欠けるが、寒さに備え夏場の2倍以上もの脂肪(2.2%前後)を蓄え、同時に旨みも蓄える。(筋力100g中のエキス窒素分の含有量は約400mg)特に「縁側」と呼ばれるヒレの部位はコリコリとした食感を持ち脂が乗って最高に旨い。脂肪含有量は冬の天然物で20%(養殖物は30%)、夏でも16%もあり、タンパク質の一種であるコラーゲンが多く含まれている。昨今では、養殖魚はもとより、輸入魚も増えアメリカをはじめ韓国や中国からも輸入される。また、日本と季節が反対のニュージーランドやオーストラリアからも輸入される為、夏でも美味しく食べられるようになった。
 ひらめが青森の県魚とまで称されるようになったのは、日本一の水揚げ量が基になっている。それを支えているのは種苗放流事業だ。幼魚まで育て、自然に戻し大きくなってから漁獲するといった再生産が行われている。天然物の体の裏側は白いのに対し、人口種苗で育成されたひらめには黒っぽい班があるので天然物でも黒班があれば放流されたひらめであることがわかる。しかし、最近は底に砂を敷いた水槽で育てる種苗もあり、これには黒班がつかないので見分けにくくなってきた。
 青森での漁獲量が多くなるのはこれから迎える11月と産卵期にあたる6月。特に11月は食味が良くなってきて評価が上がってくる時期にあたっているが、需要期には当らず比較的お求めやすい時期となっている。量販店にも並ぶ機会が多くなっているので、是非、旬の味を楽しんで頂きたい。
 2009年10月5日 月曜日
ワカサギ
  釣りファンの間では、寒冷地での日本の冬の風物詩として知られるワカサギ釣り「穴釣り」が良く知られています。県内の小川原湖のワカサギ漁が9月1日に解禁になり漁が本格化してきました。主に引き網という漁法が3月15日まで続き、4月21日〜6月20日までが定置網へと移行していきます。寿命は1年ほどで、これから水温が下がる冬から春にかけて産卵期を迎えます。
 小川原湖は太平洋の海水と淡水が交じり合う汽水湖でシジミも獲れる宝の湖。
内水面の漁獲量では全国3位(2008年192t)の漁獲量を誇り、豊栄養化などの水質汚濁に対する適応力が高く、水質良好であることを表現する意図で「ワカサギが住める○○湖」といったことが良く聞かれます。
 ワカサギの小ぶりなものは、骨も細く柔らかく、丸ごと食べられて天ぷら、唐揚げ、マリネ、南蛮漬け、あんかけなど料理バリエーションも豊富!
季節の変わり目、風邪を引きやすい時期、ワカサギを丸ごと食べてカルシウム補給に努めましょう!